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不妊症の現状

不妊症の現状

不妊症とは、通常の夫婦生活を営んで1年経過しても妊娠しない状態をいいます。
不妊症のカップルは増加傾向にあります。2002年では8組に1組の割合でしたが2010年では6組に1組となっています。その背景に、晩婚化やライフスタイルの変化に伴い、不妊症治療者が高齢化していることが挙げられます。治療の成功、不成功の最大の要因は【年齢の壁】です。加齢によって卵子の数の減少、卵子の質の低下など卵巣の予備能が減少します。また同時に、高齢に伴い不妊に関わる婦人科疾患の合併症が増加することも要因の一つとなっています。

次に該当される場合は、早めの受診をお勧めします。

女性の年齢が35歳未満、12か月以上妊娠が成立しない

女性の年齢が35〜40歳、6か月以上妊娠が成立しない

可能な限り早期の検査が必要なカップル

女性側のリスク因子

  • 年齢が40歳以上
  • 月経周期の異常がある
  • 骨盤内炎症性疾患の既往がある
  • 子宮筋腫、子宮腺筋症がある
  • 重症の子宮内膜症がある
  • 卵巣の手術の既往がある
  • 抗がん剤または放射線治療の既往がある

男性側のリスク因子

  • 精巣の手術既往がある
  • 成人発症のムンプス
  • 性機能障害
  • 抗がん剤または放射線治療の既往がある
  • 他のパートナとの不妊歴
不妊症の現状

さまざまな過程を経て、妊娠は成立します

妊娠に必要な条件は、

  1. 腟内に多数の運動精子が射精される
  2. 精子が子宮頚管に進入し子宮腔内〜卵管〜腹腔側の出口まで到達する
  3. 卵巣内で卵胞が育ち卵胞の破裂(排卵)が起こる
    →排卵後の卵胞から黄体が形成される
  4. 卵管采による卵子の取り込みで卵管内に卵子が入る
  5. 卵子と精子が融合(受精)する
  6. 受精卵が順調に分割(胚の形成)し、胚が子宮腔に運ばれる
  7. 胚が子宮内膜に着床する
妊娠に必要な条件

以上のような過程をたどります。そして妊娠を妨げる原因もいくつか挙げられます。(下記グラフ参照)

不妊の原因〜主因子の分類不妊の原因〜男女の分類

そこで妊娠の過程に問題がないか妊娠の第一歩としてまず不妊の原因を探ることから開始します。順序立てて細かく検査を行っていくことが必要となります。

検査の1つ〜自宅でも開始できるのが基礎体温を測定することです!!

基礎体温は月経周期や排卵の有無などホルモンの働きとも深く関係していることから、自分のホルモンバランスを知ることができる方法の1つです。治療を開始する場合にも基礎体温は重要になります。

「ホルモンの働き」と「排卵」「基礎体温との関係」について(図を参照)

視床下部からの性腺刺激ホルモン(図a)の分泌によって脳下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH 図b)が分泌されます。FSHの働きにより卵巣では卵胞が育ち、卵巣から出る卵胞ホルモン(エストラジオール 図c)が上昇します。エストラジオールの上昇によって子宮内膜が厚くなっていきます。この間基礎体温は低温相で経過します。卵胞が成長し、エストラジオールの上昇が続くことで脳下垂体を刺激し黄体化ホルモン(LH 図d)が放出されます。このLHの放出によって卵巣では排卵が起き、排卵後の卵胞が黄体化し黄体ホルモン(図e)が分泌されます。この黄体ホルモンによって基礎体温は低温相から高温相へと移行します。

「ホルモンの働き」と「排卵」「基礎体温との関係」について「ホルモンの働き」と「排卵」「基礎体温との関係」について

基礎体温を測定することで・・・

  • 排卵の有無がわかります
  • 毎月のパターンから排卵日の予測ができます
  • 黄体機能不全の有無がわかります
  • 高温期の持続により、妊娠のチェックもできます
  • 不正出血の原因を推測することができます

まだつけていない!という方は是非開始し、表につけてみて低温期と高温期の二相性になるかチェックしてみて下さい。

正常基礎体温