胚移植
培養した胚を子宮内に戻します。胚移植は腟から細い管をいれて超音波(エコー)で確認しながら行います。当院では培養室とオペ室の間に両扉型の培養器を設置しており、移植胚に負荷をかけることなく迅速安全に胚移植できます。
胚移植方法
移植する胚の培養日数によって、初期胚移植、胚盤胞移植、二段階移植の3種類があります。
1初期胚移植(培養2,3日目の胚を移植する方法)
- 一般的な移植方法
- 胚移植のキャンセル率※が低い
2胚盤胞移植(培養5~7日目の胚を移植する方法)
- 胚の選別を行える
- 妊娠率を下げずに移植胚数を少なくし、多胎妊娠を予防できる
- 胚移植のキャンセル率※が高い
3二段階胚移植(初期胚と胚盤胞を同一周期に移植する方法)
- 胚盤胞の利点を生かしたまま、胚移植のキャンセル率※を下げる
- 多胎妊娠の可能性がある
※胚移植のキャンセルについて・・・胚の分割が不良の理由で、胚移植が出来ないということ。
- どの方法を用いるかは患者様と相談の上、決めます。
- なかなか妊娠されない方には胚盤胞移植や二段階胚移植を行います。
- 移植個数は原則1個です。状況により、2個移植を行う場合もあります。
採卵した周期に移植する場合(新鮮胚移植)、採卵後から妊娠判定まで黄体ホルモンの補充が必要となります。
胚凍結
採卵した周期に移植出来ない場合、良好胚を凍結します(全胚凍結)。また、新鮮胚移植した場合も移植胚の他に良好胚があれば余剰胚として凍結します。凍結した胚は、液体窒素の入った専用の容器で保存します。
全胚凍結の適応
OHSSの予防、子宮内膜不良、卵胞ホルモン高値、黄体ホルモンの上昇など
vitrification :超急速ガラス化法
高濃度の凍結保護剤を添加し、急速に冷却することで細胞内の氷晶形成を阻害し、 高い生存性が得られる凍結方法
妊娠判定
胚移植から、約1~2週間黄体補充のあと、採血を行い血中β-hCGを測定することにより妊娠判定をします。妊娠反応が陽性の場合は、妊娠8~9週まで薬を継続します。
凍結融解胚移植
採卵周期とは別周期に移植を行う、ホルモン補充周期法、自然周期法の2つがあります。
ホルモン補充周期法
生理2日目から子宮内膜を厚くするために卵胞ホルモン剤を使用します。内膜の状態を確認後、黄体ホルモンを開始します。凍結している胚のステージ(培養日数)と黄体期の日数を合わせて胚を移植します。
- ①移植開始前に卵巣チェックで受診。
- ②生理2日目から卵胞ホルモン開始。(プレマリン、プロギノーバ、エストラーナ、エストロジェルなど)
- ③生理12~14日目に受診し、子宮内膜の厚さ、卵胞ホルモン値をみる。
- ④排卵日を設定し、設定日から黄体ホルモンを開始する。(プロゲステロン腟座薬、デュファストンなど)
- ⑤培養日数に合わせて、凍結胚を融解し、移植を行う。
- ⑥移植から1週間前後に採血で受診。
- ⑦妊娠判定のため受診。
自然周期法
自然排卵に合わせて、凍結胚を移植する方法。